2025年の記事一覧 [ 3/7 ]

REPORT & TOPICS

2025.04.13「ラグビーは自分の人生の芯となり屋台骨となり、壁を突破する力を与えてくれている」昭和55(1980)年卒  田中 義和

トヨタ「MIRAI」開発責任者

新入生の皆さん、膳所高校入学おめでとうございます。

自分は、ラグビーが盛んな野洲出身でしたが、中学ではラグビー未経験で、思い返せば今からはるか48年前。ラグビー班に入ったきっかけは、実は野球班の練習に参加しようとグラブなど持参して登校したのですが、当日はなぜか野球班の練習のない日で、たまたまグラウンドで練習していたラグビー班の練習がとても雰囲気も良く楽しそうで眺めていたところ、最終的に当時ラグビー班監督だった北居先生に半ば引っ張りこまれるような形でラグビーを始めました。ポジションはスクラム最前線で敵と対峙する左プロップ(1番)。敵から味方から、前からも後ろからも押されるという、よくよく考えるとラグビー特有のポジションだと感じます。

自衛隊での夏合宿や折々でのけがなど、正直つらい思い出も尽きないですが、はっきり言って勉強そっちのけ、在学中は教科書よりラグビー専門誌「ラグビーマガジン」を熱心に読んで過ごしました。同級生からも「ラグビーは一生懸命だけど、勉強は超低空飛行」との記憶が今も鮮明のようで、同級生と杯を酌み交わすと、からかわれることも多いです。

結局、卒業後の浪人生活を経て京都大に入学しましたが、京大で再会した膳所高の同級生からは「何でゴリ(あだ名)がここ(京大)に!?」と驚かれました。ラグビーで培った体力や気力、ここぞという時の集中力に背中を押されたような気もします。

高校卒業後も膳所高OBチームのラグビーの試合に足を運んでは、ノーサイド(試合終了)後に、皆で飲んだビールのうまさは生涯忘れられません。

前置きが長くなりましたが、今も会社に入って色んなプロジェクトに参画し、ライバルから味方から、前からも後ろからも押され、壁にぶち当たることも多いのですが、膳所高ラグビー班の一員として仲間と過ごした時間と記憶が自分の原風景となり、今も続くラグビー班の旧友との繋がりが、確実に励みとなり、人生を豊かなものにしてくれています。膳所高在学中、勉強一筋では決して得られなかった貴いモノがラグビーを通じて得られ、自分の人生の芯となり、屋台骨となって支え、壁にぶち当たったときに突破する力を与えてくれている――そんな気がするのです。

最後に大切なメッセージ、「新入生のみんな、来たれ膳所高校ラグビー班へ!!」。

 

転載:野口(1985卒)

2025.04.12 現役とOBの合同練習

春の清々しい青空の下、4月12日(土)に現役チームとOBの合同練習を開催しました。本日新入生に対してメッセージをくれた林さん(2003卒)から、オフェンス3人対ディフェンス3人の局面でのオフェンス側の攻め方を実践形式の練習で理論解説付きで学びました。

1日の練習の中、選手達が上達していく姿を見ることができて、頼もしい限りです。

掲載:野口(1985卒)

2025.04.12「現役生に伝えたい〜ラグビーの競技性と社会有用性~」平成15(2003)年卒 林 徹

花園3回目出場(2002)時ナンバー8でチームを牽引、その後早稲田大ラグビー部でナンバー8、ホンダ・ヒートでフランカーとして活躍する。初のトップリーグ(現リーグワン)選手。

今回は「ラグビーが社会人として有益か?」について、私なりの見解を伝えたいと思います。

学生当時、いろんな人が有益だと叫んでいましたが、具体的にイメージが湧かなかったものです。誰も具体例を出してくれなかったんですよね……。仲間と得た青春は今でも心の支え→社会人でも活きる、みたいに。ラグビーじゃなくても青春できるだろって、高校生の時には心の中でツッコんでいました。

ラグビーの競技性と社会有用性について、大きく三つあると考えています。他のスポーツを否定するつもりはありません。ダメな先輩が偉そうにうんちくを語っている程度に思ってください。

①トップダウン型でなく、現場実行型

②最適解の選択

③責任と信頼 できないプレーを仲間に任せる

まずは①ですが、高度成長時代は社長のいうことを確実にこなす社員のニーズが高かったらしいです(NHKのドキュメンタリーでも言っていたので多分、合っているのでしょう)。いわゆる野球のように監督のサインを忠実に実行するプレーです。

一方で、現代社会は複雑になりすぎています。そもそも社長は末端の現場の詳細など分からないだろうし、自動車四輪担当の私が農機のことなど知るはずがない。そのように、よくわかっていない人間の指示や、いわゆる「常識」とされて来たものの中には、時代や社会の変化を経て的を外していることが実は多いのです。その際、何より求められているのは、そのフィールドごとに自分自身で状況を的確に判断し、達成のため要求されるものを自分自身で考え、それを達成することですね。

つまり、ラグビーの監督が方向性と基本的な原則を教えて、選手を試合に送り出したら、あとは見守るのみっていうのと同じですね。現役時代に共に花園3回目出場を果たしたU監督(現I高校監督)はカメラがないところではプレーごとに指示というか、8割はレフリーへのヤジでしたけれど、まあ我々の心の声を代弁してくれていたということで「良し」としましょう。

次に②についてです。例えば、あるフェイズでゲインを切るという場合、与えられる選択肢は多くあります。ヒット・ステップ・パス・キック、結果(ゲイン)にコミットすれば最適解は何を選んでも良いことになります。役職が上がれば上がるほど、命題のみ与えられ、リーダーとして最適解を導き出す必要があります。起業なら、自分に命題を課すことにもなりますね(偉そうに言っているけど、「お前の役職はどの程度だ? 雇われ社員のくせに」というツッコミはご容赦ください)。

最後に③ですが、体重がない選手が相手にヒットして打ち勝つことに全力を尽くすのではなく、チーム内のパワープレーヤーを信頼し、最高の状態でボールを渡すことが重要です。これは自社にできないことは他社に委託し、結果として成果を挙げる事例とも同義です。ただ、会社でも、すべてを他人に丸投げするだけなら、周囲から必要とされないものの、一芸以上のスキルを身につけることで他者との信頼関係を得られることが可能、そう表現するのが分かりやすいのかもしれません。

以上、私のメッセージが少しでも役立てば幸いです。

 

転載:野口(1985卒)

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