2025.04.10「無限の価値」令和6(2024)年卒 北村 遼介
3年生の秋季大会までラグビーをプレーし続けて、現役で京都大学に合格
僕はラグビーから、そして、BLACK BUCKSから多くを得た。
まず、僕が手に入れたのは、居場所であり、仲間であった。入学当初、ラグビーはおろか部活にも興味はなかった。先輩に声をかけられてグラウンドに向かったことに、とくに理由もなかった。しかし、幸運にも僕はやっと膳所高校で居場所を見つけられた。そこで出会った仲間とともに切磋琢磨しあえる日々が始まった。
日々の練習の中で、徐々に僕はラグビーの楽しさに気付き、ラグビーが好きになっていった。ラグビーの醍醐味としてよく激しいコンタクトが挙げられるが、まさしくその通りであり、勢いをつけて全身でぶつかり、一歩でも前へ進もうとする爽快感は計り知れない。僕は、右プロップというポジションであり、スクラムの支柱を担っていた。プロップは肉体的にハードなポジションであり、嫌気がさしたことも幾度かあった。しかし、相手のプロップとの駆け引きを制し、スクラムに勝った時の喜びに勝るものはない。
ラグビー班で充足した時間を過ごしていたが、それも終わりが近づいた。春の大会で引退するか秋の大会まで続けるかという決断を迫られた時、最初に思ったことは、この日々が終わってほしくないということだ。しかし、進路に対する不安や、部活を続けることが進路に対する逃げになっていないかという疑念が決断を妨げた。それでも、ラグビーが好きだという思い、最後まで戦い抜いて見られる景色を見てみたいという思いから、班活動を続けることを決意した。
秋季総体は初戦敗退で終わった。八幡工業へのリベンジの舞台に立っことすらできなかった悔しさも確かにあった。だが、それ以上に最後まで戦いきれたのかという悔いが残った。秋季総体前、たとえどの試合が最後の試合になっても悔いを残さないくらいに、全力で戦いきろうと考えていた。それなのに、スクラム、ラインアウト、コンタクト、どれをとっても自己満足できるものではなかった。日々の練習で、自分に対して甘すぎたことを痛感してももう遅かった。
三年間の高校生活を終えて、僕がBLACK BUCKSから得た最大の財産は、「BLACK BUCKSの一員だ」という誇りであり責任感だ。BLACK BUCKSの価値を高める行動をとらなくてはならないという考えが、高校生活の支えになった。現役の時にも、「膳所の3番」であることを誇りに感じていたが、不思議な事に、この思いは引退してから一層強まった。
膳所高等学校ラグビーオールドボーイズ倶楽部会誌「とらい」No.46から転載:野口(1985卒)